2012年に発表されたジャケ・ドローのバード・リピーター(THE BIRD REPEATER)は、今日においても希少な高級時計のひとつに数えられています。この手首で作動するオートマタは、ジャケ・ドローの機械的才能および、数々のクリエーションに息吹を吹き込んできた自然主義の伝統にオマージュを捧げています。
今回、ブランドはベドウィン族(アラブの遊牧民族)が築いた広大なアラブ首長国連邦の砂丘に足を踏み入れます。世界限定1本(numerus clausus 1/1)のバード・リピーター ファルコン(THE BIRD REPEATER FALCON)は、直径47mmのホワイトゴールド製ケースのなかに、マザー オブ パール、イエローゴールド、そしてレッドゴールドに手作業でエングレービングやペイントを施し砂漠を表現しています。
この光景は、バード・リピーター(THE BIRD REPEATER)が初めて披露された2012年にユネスコ無形文化遺産に認定された、千年以上続く鷹狩りの芸術を描き出しています。アラブ首長国連邦の至宝である鷹は、4000年以上前からベドウィン族によって砂漠での狩りに活用されてきました。それ以来、鷹は国際的にみても同国を象徴するアイデンティティであり文化の中枢を成しており、それは国の紋章や通貨に描かれた鷹に見て取れます。鷹の調教は今も変わらず同国貴族のアクティビティであり、ハンターと主人の密接な関係が要求されます。
タイムピースの前景には、鷹の番いおよび、手作業で彫刻と彩色を施した2羽の雛がレッドゴールド製の巣の中央に姿を見せています。鷹の一方が身をかがめて雛に餌を与えているのに対し、もう一方は羽を広げて繊細な色彩を披露します。そして巣の中央では卵から孵化した雛が姿を現します。
このシーンの背景に、ジャケ・ドローは白いジャラバの衣装を着て鷹狩りに没頭する2人の男性(父と息子)を描いています。時間を司るオニキス製インダイアルの左側では、マザー オブ パールのディスクが砂漠から浮かび上がります。その動きによって、砂の上に浮いているように見える蜃気楼が次第に消えてゆき、彩色されたオアシスがうっすらと現れ、まるで本物の蜃気楼のように近づくと徐々に遠ざかっていく印象を与えます。このシーンの全景は、イエローゴールド製の砂漠を明るく照らすマザー オブ パールの空の下に広がっています。手作業で彫刻された砂漠は、ポリッシュ仕上げによって微妙な起伏を再現しています。
類い稀な複雑さを持つこのオートマタは、高級時計を代表する複雑機構「ミニッツリピーター」の音に合わせて作動します。ミニッツリピーターは、ムーブメントの内部に収納されたカテドラルゴングを響かせて、時間、15分、分単位で時刻を告げます。側面のスライドレバーでフライング・ガバナーを搭載したムーブメントが作動します。フライング・ガバナーの静かさが、貴い鷹の飛翔をわずかに響かせ、オーナーをジャケ・ドローの驚愕の芸術へと誘います。このユニークピースは、ドバイモールの新しいジャケ・ドロー ブティックで披露されました。
“Some watches tell time, some tell a story”